下垂体機能低下症について

下垂体機能低下症について

※症状により臨床調査個人票がかわります。

1. 「下垂体機能低下症」とはどのような病気ですか

下垂体とは、頭蓋骨の中で脳の下にぶら下がるように存在する小さな内分泌器官で、前葉と後葉の2つの部分からなります。前葉は6種類のホルモン[副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、成長ホルモン(GH)、黄体化ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、プロラクチン]を、後葉は抗利尿ホルモン(ADH)とオキシトシン(OT)を分泌します。 下垂体機能低下症とは一般に、下垂体前葉ホルモンの一部またはすべてが何らかの原因で十分に分泌できなくなった状態を意味します。後葉ホルモンの障害は中枢性尿崩症として別に扱われます。 下垂体前葉ホルモンは副腎皮質、甲状腺、性腺など数多くの末梢ホルモン分泌を調節しています。このため、下垂体の機能が低下すると、結果的に副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモンなどの分泌が障害され、ホルモンの種類により多彩な症状が現れます。

2. この病気の原因はわかっているのですか

下記3であげた腫瘍、炎症、頭部外傷が原因として最も多いことが知られています。原因が不明の場合は何らかの免疫異常が関係している可能性もあり、現在研究が進められています。

3. この病気にはどのような治療法がありますか 原因となっている病気(腫瘍、炎症など)がある場合は、それに対する治療が行われます。その上で、下垂体ホルモン欠乏が原因となっている症状に対し、末梢ホルモンの補充療法を行います。 生命の維持に必要なホルモンは副腎皮質ホルモンと甲状腺ホルモンです。ACTHが欠乏している場合は副腎皮質ホルモン(ヒドロコルチゾン)を、TSHが欠乏している場合は甲状腺ホルモン(T4)を内服することで、体調を健康な人とほぼ同じ状態に維持することが可能 です。 GH が欠乏すると小児では成長障害(低身長)が生じますので、GHの補充療法を行います。また成人でもGHの補充が代謝の面で有益であることが明らかとなり、最近では補充療法がおこなわれています。いずれも注射で行う治療で、内服や点鼻では無効です。 LH, FSH の欠乏に対しては、性ホルモンの内服ないし注射による補充を行います。ただしこれから子供をつくる希望のある方は治療法が異なりますので、内分泌内科、泌尿器科や婦人科などの専門医に相談されることをお勧めします。

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